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粉雪  10月1日  7:07

朝からずっと霧のような雨が音もなく。それは粉雪のように。

驚いたり、まして悲しんだりするところまでは全く気持ちが
いってなくて、ただ「なんで?」だけが頭の中を占めている。

ちゃんと黒い服に着替えて、数珠も持って、御霊前とかいた
袋に、薄墨で名前を書いて、袱紗につつんで、同じような様相の
人々の中で浮くことのない、その場にふさわしいいで立ちは
できているので、冷静なのかというと、それはただ単なる
セレモニーの様式に則っているだけで。

では、なぜそうしているのか、どうしてあの人の写真が、
手の届かない正面の祭壇の上に飾られているのかはいくら
考えてもわからないままで。

時折こみ上げる涙は、なんの涙なのかもわからないし、
こんなんいやや、と叫び出したいのに、そうはしない。

確かに私はここにいるのに、ここにいない。
そしてあの人はどこにいるんだろう?
私は退職した日にさようならといった覚えなんかないのに。

一人でいつものショットバーで、いつもの水割りを2杯飲んで、
いつもならいい感じに酔えるのに、返って神経を覚醒させた。
すごいハイテンションで、あの人のことを延々としゃべる自分は
また誰でもないような気がしていた。
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by ca0lizm | 2008-10-01 07:07 | 無機物 | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


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