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はるねこ  1

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旅なんて、簡単。まして一人旅、誰かに意思確認を
することも、日程をすりあわせる手間もない。
生活圏からちょっとはみ出すだけで、もう旅。
ちょっとジャンプするだけ。
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急な変更も、ドタキャンすら気兼ねなく。やむを
得ぬ事情なんかなくても、なんとなく、だけで。

人生を旅に例えたりするが、そもそも私は生きて
いることそれ自体を「旅と旅の間の、途中下車している
時間に費用を捻出するために働いている」と思っている。

金曜日、旅の荷物を抱えて家を出た時から既に
始まっていて、その日は偉い人が皆会議や出張で
オフィスには不在、誰もが気持ちは連休に半歩
踏み出しているような空気。
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高速バスの乗り場は、通勤で歩く繁華街の道沿い。
出発時間は退社してから1時間半後。外はまだ
明るくて、川面に反射する光が眩しい煌めきを
しばし足を止めて眺めたりする。

夕方、割引シールの貼られたおにぎりとドーナツ、
お茶を買う。これからね、旅に出るんです、これ、
バスの中で食べるんです、と言いたくなる。

連休前日の夜、バスはひとつ前のバス停から
通る街中で既に渋滞。わずかに遅れて到着。
目的地の方言の運転手さんに予約の名前を告げ
乗り込む。いつのまにかすっかり色とりどりの
あかりが散らばる通りを走り出す。
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私の乗るバスは自由席とのことで、早めに
バス停で並んで待っていたのだが、乗客は
わずか数名。

冷たいおにぎりと油のまわったドーナツを
冷たいお茶で流し込み、文庫本をカバンから
取り出したが。週末の疲れか揺れの心地よさか、
爆睡。2度の休憩も知らず通り過ぎた。

4時間足らず、下車した市役所前のバス停は
人も車もなくしんと静まり返りやや心細く。
記憶の地図を頼りに、駅方向に向かって歩く。
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事前に断って大幅にチェックインの時間を
遅らせて貰ったとはいえ、申し訳なく、急ぎ足。
しかも宿帳に記入するのは3日ぶり、その日の
宿泊者は私だけ・・!!貸切て!!

大浴場もよかったら、と言われたものの、
時間も遅く、自分だけのために掃除の手間を
かけるのもきづつない。部屋のシャワーを
使い、倒れ込むように眠った。







by ca0lizm | 2017-03-19 10:46 | たび | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


by ca0lizm