遂行されない約束がたくさんある。
私は「社交辞令」は自分では絶対言わないので、
人から言われても、それが気持ちがあるか
ないかの判別がつかず、というか、全部本気と
まともに受け止めてしまう。
そのせいで、子どもの頃からがっかりさせられる
ことばかりだった。
「またあそぼな」と言われたら、「いつ?」と
思ったし、その「また」の機会を延々と待っていた。
「今度もってくるわ」にはその場で「ありがとう」
とお礼まで言い、「今度」が来たのに相手が
すっかり忘れている風だと、私の「ありがとう」
まで嘘になった気がした。
中1の冬休み、初日の出を見よう、と友人数人と
時間も決めたのに、元旦の朝、わくわくして
待ち合わせ場所に来たのは私だけだった。
それからずっと、期待なんかしない、みんな
口だけ、と思いながら、流せず。性分は少しも
変わっていない。
皆私のようにふらふら一人気ままには生きて
おらず、出かけるのにも家族の都合やら、
自分の思いだけではお金も時間もままならない
のだろうけど。
私の中にはたくさんの「また会いましょう」や
「仕事帰りにお茶しよう」が降り積もっていく。
忘れはしないけれど、やっぱり相手の本気度が
読めなくて、そして本気で楽しみにしてるのを
胸の奥にしまって、相手には言えずにいる。