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ニット帽  11月15日

朝はなみだ目になるほど、帰りは木枯らしのような
冷たい風に髪を乱され、すんすんと鼻をすする。
バイクの上着を、ダウンにしようと思いながら
駐輪場へ向かう道、あまりの寒さに、信号待ちの
わずかな時間がうらめしい。

「あともうちょっとで来年やで」
職場のHさんのその言い方に、皆が笑う。

もう11月も折り返し。仕事は流れも安定し、慣れて
お昼にはルーチンワークはほぼ完了してしまう。
午後からは、これまで手書きで書き加えられて
色褪せた、各種一覧表、棚やキャビネットの
ラベルなど、誰かがあれこれ探して指示をくれ、
こなしてゆく。

そのどれもが急ぎでもなく、かといって何日も
時間を要するほどの工数がかかるわけではなく、
暇な時には本当に何もすることがない。

先日は、会社の用箋(昔はどこの会社でも社名の
入ったレポート用紙があった。)に鉛筆で手書き、
右上の欄外には「昭和61年」と書かれ、折り目が
透けて破れそうな、四隅は既に摩耗し切った
表を「打ってもらえますか」との依頼。

それを持ってきてくれたのは、「昭和63年生まれ」。
すごく自分が年をとったような気がする。

誰かのお土産の「ごまたまご」が私の机にも
のっけられ、古いドラマに出ていた俳優の名前が
思い出せない、といった会話が聞こえてきたり、
出入りの業者さんが、元気に飛び込んできて
外の寒さや、街の様子を教えてくれ、せわしなく
また駆けだしてゆく。

メリハリがあって、活気もある。そこには笑顔も
含めたコミュニケーションがあり、誰もが気さくな
「働く人々」であることに、改めて和む。

今日は給料日。なんかあったかいおいしいものを、
おなかいっぱい食べよう。
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by ca0lizm | 2012-11-15 05:03 | いきもの | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


by ca0lizm