Saigon Dream 1
2016年 06月 06日
傘を買った。小さな商店に崩れそうな商品が犇めく市場。
その入口に積まれた葉っぱでできた「ノンラー」。
防水加工されたものは値段が1.5倍、雨季でもあるし、
と思ったがごく普通のものを。
旅に出る。不安定な派遣社員を生業とし、こうして
望むと望まざるに関わらず、労働者として社会との接点に
ブランクができることの言い訳のために、逃避しているの
かもしれない、とも思う。
これから梅雨を迎え、さらに細胞が干上がる夏が
くる前に、好んで湿気と埃にまみれに行くのはなぜか。
騒音や衛生面でも、日本と比べ格段にストレスに
なりそうなのに。
言葉も十分とは言えず、日焼けも気にせねばならず。
スマホを持たない私はネットの世界とも隔絶され、
携帯電話は海外でも使えるらしいが、設定の仕方も
未だ知らない。なのに、引き寄せられる。
飛行機のシートベルトを締め、機体がふわりと浮いた
瞬間いつも、この世から消えてしまうような心持ちに
なる。どこにもいないような、透明になったような。
見栄を張らずに、なりたい自分になれる「旅」。
始終聞こえるバイクのクラクション、汗ばむ肌は砂埃で
ざらざらと心地悪く、水たまりには果物の皮やごみが
吹き溜まり、刺すようなひざしは容赦なく。
日本では嗅ぐことのないにおい、ハエのたかる肉や魚。
そこに行けば、そんなすべてが日常になる。
どこにでも座りこむ、道端でもさもさと飯を食う、
身なりもいつも以上に構わず、赤ん坊がいれば
寄ってって覗きこんでみる。
そして噴き出す汗を補うように水を買って飲み、
日陰でノライヌの昼寝を眺め、雑貨屋をひやかし・・・
日本での「特別」も、ここではなんでもないできごと。
塩と唐辛子を買う、それだけが目的で、あとはぷらぷら。
食べたいだけ食べ、好きなだけ本を読み、疲れたら休み、
眠くなれば寝る。時計を見るのは朝ご飯の時刻を
確認するときだけ。
性分までは切り替えようはないけれど。『スーツで
ハンモックに揺られている』ような、傍からは窮屈そうで
とてもリラックスしているようには見えなくても。
旅先でしか己を放てない、私だけの時間がある。
親しい人とも共有できない、心の奥にしまったきりの
笑顔やかなしみがふと溢れ出す、アジアの風の中で。
その入口に積まれた葉っぱでできた「ノンラー」。
防水加工されたものは値段が1.5倍、雨季でもあるし、
と思ったがごく普通のものを。
旅に出る。不安定な派遣社員を生業とし、こうして
望むと望まざるに関わらず、労働者として社会との接点に
ブランクができることの言い訳のために、逃避しているの
かもしれない、とも思う。
くる前に、好んで湿気と埃にまみれに行くのはなぜか。
騒音や衛生面でも、日本と比べ格段にストレスに
なりそうなのに。
言葉も十分とは言えず、日焼けも気にせねばならず。
スマホを持たない私はネットの世界とも隔絶され、
携帯電話は海外でも使えるらしいが、設定の仕方も
未だ知らない。なのに、引き寄せられる。
瞬間いつも、この世から消えてしまうような心持ちに
なる。どこにもいないような、透明になったような。
見栄を張らずに、なりたい自分になれる「旅」。
始終聞こえるバイクのクラクション、汗ばむ肌は砂埃で
ざらざらと心地悪く、水たまりには果物の皮やごみが
吹き溜まり、刺すようなひざしは容赦なく。
日本では嗅ぐことのないにおい、ハエのたかる肉や魚。
どこにでも座りこむ、道端でもさもさと飯を食う、
身なりもいつも以上に構わず、赤ん坊がいれば
寄ってって覗きこんでみる。
そして噴き出す汗を補うように水を買って飲み、
日陰でノライヌの昼寝を眺め、雑貨屋をひやかし・・・
日本での「特別」も、ここではなんでもないできごと。
食べたいだけ食べ、好きなだけ本を読み、疲れたら休み、
眠くなれば寝る。時計を見るのは朝ご飯の時刻を
確認するときだけ。
性分までは切り替えようはないけれど。『スーツで
ハンモックに揺られている』ような、傍からは窮屈そうで
とてもリラックスしているようには見えなくても。
親しい人とも共有できない、心の奥にしまったきりの
笑顔やかなしみがふと溢れ出す、アジアの風の中で。
by ca0lizm
| 2016-06-06 05:06
| たび(異国)
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