人気ブログランキング | 話題のタグを見る

見えない星  3

大阪の繁華街だけではなく、離島も外国人観光客が
団体で押し寄せているらしい。小型のバスで浜へ、
星砂を採取したり、海水浴を楽しんだり。

日本人観光客も、日帰りで訪れることも多い島なので、
日中はレンタル自転車で緩い坂を立ち漕ぎする姿も
よく見かける。
見えない星  3_e0061785_15240196.jpg
台風の片鱗を方々で。

お天気はあいにくで、薄曇り。静かな道を、蝶が
追い越してゆく。虫の羽音に足を止めたり、花の
香りにふりむいたり。牛のしっぽとか、顔に見える
雲とか、気になれば好きなだけ眺める。時間も曜日も、
自分が誰なのかもどうでもいい、その心地いい解放感。
見えない星  3_e0061785_15320212.jpg
その日は夕暮れ、観光客が誰もいなくなって、
浜を管理しているらしいお兄さんが、ベンチの砂を
柔らかそうな箒で掃いたりし始めるまで、ずっと
浜の屋根のある場所で、ただ海とネコを見ていた。
見えない星  3_e0061785_15283725.jpg
いつもの習慣通り、夕食なし。小腹もすいておらず、
ビスケットも食べず。
18:00、民宿の夕食が始まった時間を見計らって、
シャワー。数年前に来た時より、シャワー室はじめ、
改装されきれいに。

すっきりして、髪も乾かし、表のベンチへ。
夕食を終えたメンバーがぱらぱらと食堂から出てくる。
ビール片手に、も数人。

雲が広がり夕日は望めない。
見えない星  3_e0061785_15284905.jpg
なんとなく集って、どっからきたの、とか、ここへは
何度も?とかざっくり自己紹介しあったりしながら、
雰囲気をつかむ。居心地が悪ければ、またふらりと
散歩に行くか、部屋で本の続きを、と思っていたが。

思いのほか話がつながり、その輪がそこにいる
メンバーに自然に広がって、笑いが連鎖してゆく。
「40年前に初めてこの島に来た」「明日はもう別の
島へ行くんです」誰かれなく語りかけられる言葉に
皆が耳を傾ける。
見えない星  3_e0061785_16062769.jpg
初めて会った人ばかりなのに、懐かしいとか、不思議に
引きこまれたり馴染む空気が、旅先にはある。
しばしの沈黙は、ヤモリの鳴き声とか風音がさりげに
埋めてくれる。

酔って自爆し、いつの間にか消えていたおじさんや、
シャワー浴びてきます、と一人抜け二人抜け。
星も見えないダークブルーの空に、白い煙が高く
放たれてゆく夜。
見えない星  3_e0061785_15335182.jpg

by ca0lizm | 2015-10-16 05:05 | たび(うちなー) | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


by ca0lizm