見えない星 プロローグ
2015年 10月 13日
痛みに眠れぬ夜は遠い昔。
この島で目に映るのは、ここに確かにあった
形のある幸せな記憶。
もう触れることのできないものに寄りかかって、
うずくような痛みに膝を抱えて。
誰とも共有できず、普段はただ自分の胸の奥深くに
しまい込んでいる小さな小さなかけらを、ここに来て
掌に取り出して眺めるために。
私は傷ついていたのだろうか。
ふいに溢れると止め処なく、うまく息ができなく
なるほどに。甦るのは日記に書き留めることすら
しないようななんでもない風景と声と。
たったひとつ、この島の、白い砂や、澄んだ海や
風のにおいだけが特別な出来事だった。
誰にも行ってきますと言わない旅は、人知れず
自分がこの世から消滅するかのような気がする。
夜明けにはまだ早い、暗い街から向かうのは、
時間をもはるか越えて、かえる場所。
見つからないとわかっているものを、探し続けること、
それが生きる証なのだ。
この島で目に映るのは、ここに確かにあった
形のある幸せな記憶。
もう触れることのできないものに寄りかかって、
うずくような痛みに膝を抱えて。
しまい込んでいる小さな小さなかけらを、ここに来て
掌に取り出して眺めるために。
ふいに溢れると止め処なく、うまく息ができなく
なるほどに。甦るのは日記に書き留めることすら
しないようななんでもない風景と声と。
風のにおいだけが特別な出来事だった。
誰にも行ってきますと言わない旅は、人知れず
自分がこの世から消滅するかのような気がする。
時間をもはるか越えて、かえる場所。
見つからないとわかっているものを、探し続けること、
それが生きる証なのだ。
by ca0lizm
| 2015-10-13 05:01
| たび(うちなー)
|
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