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秋黴雨  9月1日

先客がいた、雨宿り。
雨が止んだ隙間を見計らって出かけた日曜日。
が、池のあたりまで来たところでぽつぽつ、
間もなくさわさわと音をたてて。

お寺の境内、大きな鐘の向こう側にある、
屋根つきの、ベンチのある休憩所まで駆けた。

先客は目を閉じて眠っているようだったので、
音をたてぬようにサンダルでそーっと砂利を踏んで
近づき、レンズを向けてピントを合わせた。

かすかなシャッターの音でうっすらと目を
あけ、カメラにも気づいたようだが。一瞥し、
気に留める風でもなく、まだ降ってるな、と雨を
確認し、また瞼を閉じた。

結局お邪魔かと、ご一緒するのも躊躇われ
しっとりと濡れながら、桜の木から滴る雨だれ
越しに、気持ちよさげな寝顔を眺めていた。

朝晩がひんやりと寒くなり、毛布にくるまって
眠るのにちょうどいい。

もう9月。2か月ずつのカレンダーの残りがわずか
2枚となり、絵柄がコスモスになった。

秋は何気に物寂しい風ではあるけれど。

私は自分が生まれた季節がやっぱり一番好きで、
吸い込まれそうな、いっそ吸い込まれたいほど
高い空が、これから向かう旅先へと繋がって
いることを思う、それだけで、大きな羽根を
得たような気持ちになれる。

おいしい秋は、すぐそばに。
秋黴雨  9月1日_e0061785_18161973.jpg

by ca0lizm | 2015-09-01 05:03 | ねこ | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


by ca0lizm