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ぬち  3月11日

4年を振り返ると、自分の中ではそれなりに
いいことも悪いこともありながら、概ね平穏で、
暑いの寒いの言っていても、とるに足りない。

4年前、私は病院で看護助手として、緩和ケア
病棟にいた。朝は6:30にマスクと手袋をして
掃除、お茶の用意、ナースコールに走り、
今思えばようやるな、と思うほど、全力で
駆け回っていた。

一日中、そして一年中、大きな窓から見える
外の風景は絵のように目には映るけれど、
室温は一定で、半袖でも過ごせる環境の中、
遠くで起こった災害は、大震災を体験した
はずの多くのものにも、実感はなかった。

まして、緩和ケアでは、私なんかが安易に
「生きてて良かった」と口にすることも
できない。その後数ヶ月、食事時や、検査や
回診の合間に、デイルームでテレビだけを
楽しみにしていた人々と、繰返し繰返し、
同じCMをただ眺めていた。

テレビで映る被災地の様子は、報道の縛りの
中では、知るべきことはあまりなかったように
思う。

悲惨だと言えるのは、実際に体験した人だけだし
気持ちはあっても自分の生活で精一杯、現地へ
足を運んでボランティアをしたわけでもない
私は、ただ無責任な傍観者なのだろうと思う。

そのくせ、「絆」とか「がんばろう」にも、
熱くなれなかった。

今でも、行方不明者や避難生活者の数は、
想像をはるか超える。

「避難所」垣谷美雨
「いちばん長い夜に」乃南アサ
小説から見る震災。
私が感じるやりきれなさの、その何十倍も
何百倍も感じている人がいるであろうことを
胸にとどめておこうと思う。
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by ca0lizm | 2015-03-11 06:12 | 無機物 | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


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