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しじま  12月30日

時を刻む音が、静寂を一層際立たせる夜。
しんと冷えた年の瀬の、懐かしいにおいのまちで
ひとり仰ぐ星空。

珍しくもないお菓子や日用品を詰めたかばんを手に、
ただいまとドアを開けると、寒い中ごくろうさん、
はやかったね、と出迎えてくれる場所。

新しい年を気持ちよく迎えるため、そして大方は
私の自己満足で、古い小さな家を、小さな庭を
掃除する。そして、かさばる物や重いものの
買い物、そして彩りに、と切り花を買いに行く。

退院し、未だリハビリには通いながら、自宅でも
毎日マッサージやトレーニングを欠かさない母は、
一人で出歩くのには自信はないらしいが、もう
自転車で買い物に出かけたり、持ち前の根性で
めきめき回復している。

初めて自転車に乗れた子どもを見るような、また
家の階段を下から見守る私の方が、その覚束なさに
何度も何度も「気をつけて」と声をかけている。

父は年々健康管理も板に付き、どこも支障なく
母のサポートに、老いた愛犬の世話に、と淡々と
日々を送っている。

長い時間、縁あってこの世で家族となり、その
道のりは決して平穏なことばかりではなく、振り返ると
むしろ、それぞれにとって苦悩や苛立ち、哀しみの方が
多かったかもしれない。

そして、もしかしたら、それは、今も。
けれどまたこうして、生きて揃って笑いあえる幸せ。

そうして私は、人知れず一人泣く。その涙の訳を
誰かに話せたらいいと思う。
でも。自分でもうまく言葉にできないのだけれど。

ふるさとの冬の夜に、溢れる思いが滴となった。
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Commented by 華子 at 2013-12-30 09:42 x
カニだ!高級食材は正月気分になるね(^^)
お母様、回復してよかった。夫婦といく形式を継続し、個と個が家族へと馴染むまでに、どれ位の時間と忍耐力が必要なんだろ。それでも家族を作ろう継続しようとするのは何故なんだろう?50年とか一緒にいると見えてくる世界があるんだろうか?
Commented by フォルテ at 2013-12-30 14:45 x
庇護して育ててもらって、いつの間にかそれが逆転して
見守る立場に。
親は子を、子は親を、離れていても、いつも気遣っています。
縁あって家族になり親子として生活してきた時間は、言葉では
表現できない何かがありますね。

ご実家で、いたわりながら、しっかり甘えるのも親孝行ですよ。
Commented by ca0lizm at 2013-12-31 09:03
***華子さま

かに、ってわざわざ食べようとは思いませんが、こうして実家で
年末に、ってのが恒例で、おいしいんですよね。
個と個がなぜ耐え忍んで家族をなすのか、成しえなかった私には
永遠にわからないけれど、華ちゃん、どうぞ50年添い遂げて
何が見えるか教えてください。
Commented by ca0lizm at 2013-12-31 09:05
***フォルテさま

おっしゃる通りです。ほんとに、なんだかこみ上げる思いがあります。
甘える、というのが何をすることなのか未だにわかりませんが・・

気遣いの仕方は変化しても、永遠に親子は親子のまま、母自体、
90になろうとする祖母に未だに小言を言われると笑っています。
by ca0lizm | 2013-12-30 05:03 | おいしいもの | Comments(4)

 心の琴線に触れるもの


by ca0lizm