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マギーティーラ ~蔵元見学編~  7月9日

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間が悪いというか、よりによって、というハプニングは
旅のエッセンスでもある。が、臨時休館とは!
ただ、24時間有効のゆいレールフリー乗車券
前日に購入していたので、時間もあるし、と訪れた
だけなので、がっかりすることはなかった。

しかし、他に具体的なプランなく・・。と、駅で見つけた
「琉球泡盛の里を訪ねる旅」のリーフレット。
フリー乗車券を使って酒造所をまわり、4つの
スタンプを集めて、オリジナルのお猪口を貰おう、
という企画。
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駅から一番近い、徒歩5分の『咲元酒造』
スタンプもらって、ちょっと試飲させてもらって・・と
思っていたのだが、さらに工場見学まで!
ちょうど作業の手が空いた時間らしく、私一人の
ために、杜氏の社長さん自ら案内してくださった。

工場で大量生産はせず、由緒ある泡盛造りを
100年以上継承されている。
咲元酒造では、タイから輸入した原料のタイ米を、
沖縄県内で砕いたものを使用。
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巨大なドラムに水と900㎏の米を浸し、撹拌し、
黒麹を混ぜ、蒸す。

工場であれば、コンピュータで自動コントロール
されるこれらの工程、ここでは全て杜氏の経験と、
それに基づいた勘で微調整される。
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季節、天候、気温や湿度、工場の中でも、風通しの
具合・・・・、刻々と変化する環境に応じて、見た目、
におい、手触り、体感温度、音、五感をフル稼働して
判断されるという。
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ドラムから出し、均一にならして広げ、24時間置いて
黒麹を浸透させる。それを竹かごで担いで運び、
水と米を大きなステンレスタンクに投入して、
20日ほど熟成させる。
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ビニールの覆いをあけると、麹の働きで発熱した
ぬくい香りが立ち上る。タンクの中に管を通し、
井戸水を循環させ、温度調整するという。

黒麹には、あらゆる雑菌に負けないパワーがあり
空気中に漂う何物にも侵されることはない。
冬だけの日本酒と違い、雑菌が繁殖しやすい
真夏でも、泡盛を造ることができるのは、そのため。

また、発するクエン酸は、もろみ酢の原料でもあり、
杜氏たちは整腸作用が菌を豊富に含む、この
熟成途中の灰色の米を食べることもあるという。
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戦争中、この酒造所あたりも焼け野原に。
避難先から帰った二代目社長(現役は退かれているが
90歳を過ぎてなお大層お元気で、車の運転も
されるらしい!)が見つけたのが、戦火を奇跡的に
逃れた一本の木。これは、この社長が生まれた時に
植えられたもの。

この木を目安にして、母屋のあった場所に目星をつけ、
掘り起こし、これまた奇跡的に麻の袋に入った黒麹を
探し出したという。

これをもとに、泡盛造りを復興させ、今に至っている。
(その黒麹は、独り占めせず、近隣の酒造所に
配り、泡盛の復興をすすめた。)
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数ヶ月の熟成後、蒸留させて完成。
この時濾過せずに、良質の油が浮いたままを瓶に
詰め、3年ほど置くとまろやかな古酒(クース)に
なるという。
(濾過して油を取り除いたものは、年数が経過しても
ほとんど味は変わらず、古酒にはならない)


そして驚くことに、雑菌に強い黒麹菌の働きは
衰えることなく継続するため、時折空気に触れさせ、
混ぜながら置くと、何百年、何千年と、腐敗しない。

ツウにはたまらない、地道に製法を守りつつ
大事に造られる泡盛が、ここにある。
米が原料なのに、フルーティーな、ワインのような
香りがするものも。

思いのほか長居し、半日を過ごしてしまったので、
よそには回らず。でも首里城より有意義だったかも。
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by ca0lizm | 2013-07-09 05:10 | たび(うちなー) | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


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