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とんぼ返り  10月19日

すばらしく青く高い空。

朝食も摂らず、駅へ向かう空にはまだ、煌々と月が
光を放っていた。病みあがりながらも、仕事ではない
一日の始まりは、せきたてられるような気のはやりが
ないぶん、気持ちは鼻歌まじり。

まだ空いた通勤快速が西北を過ぎた途端、オレンジの
光に射られて、最後尾の車両から朝が突き抜けた。

帰省先で、駅から乗ったバスを降りるといつも、
大阪とは違う草のにおいがする。夏には夏の、
そして当然秋にも、そこで過ごした時間をとりまいて
いた、遠い昔と同じ空気に気づかされる。

その日母は出かける予定があり、父の昼食のために、
そして私に持たせるためにと、圧力鍋で大量の肉じゃが。

親戚の誰それがどうしただの、先日姪と妹と共に
出かけた湯布院での出来事、出先で年寄扱いされた
虚しさ、秋の庭の植物の話、気に入っていた靴の不具合、
昨日電気毛布を出したこと、新しいサングラスについて、
頂きものの野菜がおいしかったこと・・・等々、喋りづめ。

父は日課である犬の散歩中。
私がついてしばらく後に戻り、犬に餌を与えてから、
自分の朝食を自分で準備する。ラジオをつけ、
新聞を読みながら、ジャムトーストを食べている。
高血圧だったが、食事や運動、もちろん病院の薬が
合ったせいで、今は上が115だとご満悦。

忙しいから。連休ではないから。風邪でしんどいから。
月にたった一度とはいえ、正当な理由で帰省を延期し、
一日寝てたい、と思う時も正直ある。けれど、
特別でもなんでもない、昨日とさして変わらなくても、
穏やかな時間を送っている両親の様子を見ると、
やはり帰ってよかったと思う。

しばらくまた、持ち帰ったお惣菜で生きながらえる。
心身が「満たされる」という、しあわせ。
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by ca0lizm | 2011-10-19 05:14 | いきもの | Comments(0)

 心の琴線に触れるもの


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